オールラウンドな経験を糧に、FP&Aのリーダーとして活躍 NTTグループ財務アルムナイインタビューVol.11小島 希望さん

NTTグループを卒業後も活躍を続ける、アルムナイのみなさんをご紹介する本連載。第11回は2008年から2015年までNTT西日本に在籍して財務・経営管理の基礎を築き、現在はサワイグループホールディングスでFP&A部門のマネージャーとして活躍する小島 希望さんです。

テレビ局の内定を辞退して、新たな通信サービスの企画をやりたいとNTTに飛び込んだ小島さんでしたが、研修としての家電量販店営業を経て、配属されたのは全く思いもかけなかった財務部の資金調達部門でした。しかしその道で自らの適性を発見。

「向いていることに注力するのが性に合っていた」と語る小島さんに、NTT時代に培われたスキル、転職の決断、そして今のキャリアについて伺いました。


(プロフィール)
小島 希望(こじま のぞみ) さん

2008年、NTT西日本に新卒入社。本社財務部で資金繰り計画策定や資金調達に携わった後、経営企画部で予実管理に従事。2015年に沢井製薬(現在はサワイグループホールディングス)に転職し、現在は全社予実管理と資金繰り計画、資金調達、組織設計と運営管理など幅広い業務に携わっている。

目次

テレビ局を断ってNTTへ

──まず、NTT西日本に入社された経緯を教えてください。

もともとは放送コンテンツを作りたいと思っていて、テレビ局からも内定をもらっていました。ただ、就職活動を進める中で、自分はどちらかというと理屈からものを考えるタイプだと思い至りました。それならばコンテンツそのものを作るよりも、いろいろな価値を届けるためのプラットフォームやインフラを提供する側のほうが活躍できるのではないかと考えたのです。

そしてちょうどその頃、国の政策としてテレビ放送と通信事業の垣根をなくそうという議論が始まっていました。今でこそ動画配信は当たり前ですが、当時はまだ世界的にもYouTubeくらいしかなかった時代です。

それで、当時ブロードバンドネットワークを展開しつつ、法人向けサービスも手がけていたNTTに未来を感じました。西日本の出身ということもあり、NTT西日本を選んだという流れです。

──入社後最初の2年間は、研修期間として徳島県で家電量販店向けの営業をされていたそうですね。

はい、ある家電量販店グループを担当していました。当時そのグループは急成長中で、各メーカーやキャリアから、大勢の営業担当者や販売スタッフが入ってきている状況でした。その中で存在感を出して「フレッツ光」のシェアを取るべく奮闘していましたね。

その仕事の中で印象に残っているのは、しのぎを削った他社のスタッフさんたちです。競争相手でありながらパートナーのような、言うなれば戦友のような人たちで、社会人になりたての自分のことを気にかけてくださいました。当初は土地勘がなく知り合いもいない徳島県でしたが、みなさんのおかげで、第二の故郷のような場所になりました。多くが地元の方で今も徳島県にいらっしゃるので、毎年挨拶に行くようにしています。ちょうど先月も行きました。

思いもかけなかった財務への配属

──そこから財務の道を歩まれますね。

最初の配属は、財務部資金部門でした。当時は通信サービスの企画をやりたいと思っていたので、全く思いがけない人事でした。しかし今振り返ってみれば、理屈からものを考えるタイプの私にとって適任だと人事担当者は考えたのかもしれませんし、実際、それは正解だったと思います。

配属後、1年間は資金調達の担当を、その後の1年間は、NTT西日本グループ全体の資金繰り計画の策定をしていました。

財務の知識はほとんどありませんでしたが、みんなで議論したり新聞を読んだり、銀行の担当者に話を聞いたりしながら、少しずつ身につけていきました。それまで全く縁のなかったファイナンスの世界に触れて、経済紙の内容が理解できるようになったのは、一つ大きな手ごたえでした。

その後、2012年からは財務部の総括担当に就きました。この時身につけたのは、効率的に仕事をさばく力です。全く種類の異なるタスクがどんどん積み重なっていく中で、どちらから先に手をつけるべきか、瞬時に判断してこなしていく力は、この時期に一番鍛えられました。実務では大事な能力だと思います。

その後は経営企画部に異動し、電話通話料のトラフィック予実管理に携わりました。財務部の時は財務全体の支出・経費を横に広く見ていたのですが、経営企画部では担当領域が「電話通話料と相互接続料」という縦に深いものになりました。

この経験で大きかったのは、年度計画と中期計画を策定する中で、「過去を振り返って先を推計する」というサイクルを意識的に回せるようになったことです。例えば電話料金であれば、過去の推移をもとに、利用者や台数が今後どれだけ減っていくかを推計します。そのうえで、災害などで通話料が急増した、などの異常値を取り除いて本来のトレンドラインを引き、将来の見通しに説得力を持たせます。この推計力は、現在の仕事にもそのまま活かされています。

NTT西日本グループ駅伝の思い出

── NTT西日本時代で、思い出に残っている出来事を教えてください。

一つ挙げるならば、NTT西日本グループ駅伝です。グループ各社・各拠点から200チームくらいがエントリーする駅伝大会があり、当時は大阪市内のヤンマースタジアム長居で開催されていました。

4〜5人で3キロずつたすきをつないで、タイムを測って順位が出る本格的なイベントです。実は出場希望は500〜600チームくらいあるのですが、200チームしか出られません。エントリー開始の時間にはみんなパソコンの前に張り付いて、まるで人気コンサートのチケットを取るような争奪戦なんです。

練習もしっかりやっていました。水曜と金曜がノー残業デーだったので、その日は仕事終わりにチームのみんなで走り、そのまま飲みに行っていました。目標がある分、走るのは楽しいし、疲れた体にビールを流し込むのも最高でしたね。とても良い思い出です。

── NTT時代の横のつながりは、今も続いているそうですね。

初期配属の同期とは、今でも年に数回ゴルフに行ったり飲み会を開いたりしています。当時は寮に入って共同生活をしていたので、休みの日も一緒にどこかへ出かけましたし、困った時は助け合う。冠婚葬祭があればみんな一斉に動く。今の会社はキャリア入社がほとんどで、横のつながりはここまで強くはありません。こうした仲間同士のつながりはNTT時代ならではだったなと感じます。

助け合いの関係は、今でも続いています。例えば元同期から、今後のキャリアについて悩んでいるという連絡が来たりします。そういう時に、私のようにすでに外にいる人間は利害関係がないですから、忌憚なく話を聞くことができます。

逆に私が現職で悩みを抱えた時には、元同僚に聞いてもらえます。色んな場所で活躍している仲間たちとの会話は、自分の価値観が凝り固まらないための牽制にもなっています。プライドや見栄を抜きにして、フラットにつながれている感覚があり、私にとっては大切な場所の一つですね。

「経営全体を見渡したい」思いから転職

──そんな環境の中で、転職を考えるようになったきっかけは何でしたか。

経営企画部で初めて事業計画を完成させたものの、「自分で作った」という達成感が得られにくかったことがきっかけです。というのも、自分が担当したのは計画全体のほんの一部、電話通信料の部分のみでした。会社全体の財務状況を把握できるようになりたいという思いが強くなりましたが、NTT西日本は大きな組織なので、ここでその目標を叶えるには、担当部長くらいにならないと無理だろうと思いました。今から全体が見える仕事をしたいなら、小さな組織に移るしかないと考え、2015年の春頃から転職活動を始めました。

そこで出会ったのが、沢井製薬(現・サワイグループホールディングス)です。サワイは社員3,000人規模ですが、2,000人以上は工場勤務なので、本社スタッフ部門は実質100人程度。NTTと比べたら100分の1くらいの規模感です。

しかも財務メンバーは当時たったの4人でした。NTT西日本では財務で約50人いましたから、はるかに少ない分だけ、広い範囲が見られる。それが一番の決め手でした。加えて、会社側からかなり熱烈なアピールを受けたことも大きかったですね。

──現在のお仕事の内容を教えてください。

FP&A部門のマネージャーとして、資金繰り計画、資金調達、年度予算の策定、予実管理、経営陣への報告といった業務を担当しています。それに加えて上場企業なので、市場対応もあります。IR部門が直接対応する場面の前段階で数字を準備したり、投資家からの質問に対して分析を行い、回答の素地を作ったりもしています。

端的に言えば、NTT時代に培ってきた経験をフル活用しながら、会社全体の経営を見渡し、利益の向上に向かって率いているという感覚です。まさに思い描いていた、やりたいことができています。

振り返ってみて、最初に私の適性を見抜き、財務に配属してくれたNTT西日本の人事には感謝しています。学生時代の自分にとっては思いがけない道となりましたが、おかげで自分の強みやらしさをのびのびと発揮できていますし、その結果、組織にも貢献して充実したキャリアを形成することができました。

そういった意味で、このアルムナイは、私にぴったりのキャリアを授けてくれたNTTグループと、同窓会的なつながりを保てる良いコミュニティだと思います。交流できたら昔話に花が咲くだろうし、それを今の仕事に持ち帰って改めて気合いを入れ直すというモチベーションにもつながっています。ぜひ今後も、それぞれの現在地や知見を交換していけたらと思います。

あとがき

学生時代には放送コンテンツ制作、そして配信プラットフォーム作りと志向を固めたものの、入社後にその適性を見抜かれ、思いがけず財務の道を歩むことになった小島さん。実際に資金繰り計画、資金調達、予実管理の分野でめきめきと実力をつけ、その配属が正解だったことを証明する形となりました。

そして、現職であるサワイグループホールディングスFP&A部門のマネージャーとしての経営に直結する仕事ぶりを聞き、まさにこれから求められる財務人材像を体現していらっしゃると感じました。ぜひ、今後もその経験や知見をご共有いただけたらと思います。今回はありがとうございました。

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