システム移行を支えた経験を力に、管理会計へ広がる財務キャリア NTTグループ財務アルムナイインタビューVol.10  木村 麻希さん

NTTグループを卒業後も活躍を続ける、アルムナイのみなさんをご紹介する本連載。第10回は、2020年にNTT都市開発ビルサービス(現NTTアーバンバリューサポート)にキャリア入社し、23年よりデロイトトーマツグループ合同会社にて管理会計を担っている木村 麻希さんです。

新卒でWebベンチャー企業に営業職として入社したものの、成績が伸び悩み、一度は壁にぶつかったという木村さん。大学時代に取得していた簿記2級を武器に経理へ転身し、そこから財務キャリアを着実に積み上げてきました。

NTT都市開発ビルサービスでは、決算業務に加えて財務システム移行の主担当として奮闘。煩雑な仕事を自ら引き受け、やり遂げた経験が、現在のデロイトトーマツでの管理会計業務に活きていると語ります。改善への情熱を軸に歩んできたキャリアについて、詳しく伺いました。

(プロフィール)
木村 麻希(きむら まき)

2014年にWebベンチャー企業に新卒入社。新規法人営業を1年間経験した後、管理部門へ異動し経理事務に。17年には造船重工メーカーのSSC法人へ転職し、会計・税務業務に従事。20年にNTT都市開発ビルサービス(現NTTアーバンバリューサポート)へ入社し、業務推進部にて決算業務および共通ITシステム移行を担当。23年に退職後、現在はデロイトトーマツグループ合同会社の総務部門にて、管理会計を担っている。 

目次

挫折をきっかけに、営業から経理へ転身

——まずは、財務キャリアを歩むことになったきっかけを教えてください。

大学時代は、自分の成績がダイレクトに報酬に反映される仕事に就きたいと考えており、ベンチャー企業の営業職としてキャリアをスタートしました。

ところが、営業成績が思ったように伸びませんでした。今後も営業でやっていくのは難しいかもしれないと悩み、2年目の時に上長に相談したのです。すると運よく、当時ちょうど会社が上場準備をしていたタイミングだったこと、そして、大学2年生の時に簿記2級を取得していたことが重なり、経理の事務担当として異動できることになりました。

異動先では、小口現金の管理や入金の消込など、経理の入口的な業務を担当していました。末端の業務ではありましたが、それでも決算を終えた時の達成感は大きく、初めて仕事のやりがいを感じられたことが、うれしかったのを覚えています。決算担当になればより大きなやりがいが得られるだろうと思い、造船重工メーカーのSSC法人へ転職しました。

そこではSAPを使った会計・税務業務を担当しました。簿記で習ったことが通用しない部分が多く、しかも前任者がいない状態で引き継ぎもままならなかったので、苦労しましたね。それでも手探りで一通り仕事を回せるようになった時は、やはり達成感がありました。0からでも自分なりに努力すれば、成し遂げられる」と、自信がついた経験です。

NTTでは「経理のシステム担当」として力を発揮

——そこから、NTT都市開発ビルサービス(現NTTアーバンバリューサポート)に転職されたのはなぜですか?

2社目はSSC法人、いわば会計をやるための子会社という位置づけでした。業務委託を受けている立場なので、どうしても「外から支える」という感覚が拭えなかったのです。

事業会社の会計として、会社の一員という感覚を持って働きたい。会社の意思決定により近い場所で、経営に貢献している実感を得たい——そんな思いが次第に強くなり、転職を考えるようになりました。

いくつか内定をいただいた中で、NTT都市開発ビルサービスを選んだのは、面接で感じた社風の穏やかさと、業務の安定感に惹かれたからです。マンパワーで乗り切るような会社ではなく、きちんとシステム化・体系化されている印象を受けました。

——NTT都市開発ビルサービスでは、どのようなお仕事をされていましたか?

業務推進部で決算担当として従事し、経営会議に使用する資料を作成する一方で、経理チームの中でシステムに一番詳しい人というポジションも担っていました。こうした評価もあって、後半の1年半くらいは、通常業務に付随して、共通ITシステムへの移行の主担当という役割も担うことになりました。膨大にある勘定科目の中から、自社で使うものをピックアップしたり、プロジェクトコードの体系を設計し直したりという、地道な業務です。

中でも特に、プロジェクトコードの粒度設計には苦労しました。細かすぎると登録が大変ですし、粗すぎると中身が分かりません。絶妙な塩梅を見つけるのに四苦八苦しました。

煩雑な業務を一人で担って新システムへのスムーズな移行を実現できたことは、ささやかな誇りです。また、チーム内に若手が少ないこともあって、みなさんにはよく面倒を見ていただいていたので、この仕事を通して恩返しができたのかなとも思いますね。

意思決定機能のある組織をめざして転職

——NTTからの転職を決めた理由と、現在のお仕事について教えてください。

30代前半のキャリア開拓の過渡期に、意思決定機能がある組織に身を置いた方がいいのではないかと考えたからです。同社内でこうした仕事ができる部署は経営企画部でしたが、上長に相談したところ、異動には5年ほどかかるとのことで、そこまでは待てないと思いました。また、在籍していた会社が当時NTT都市開発のグループ会社の立場だったこともあり、持株会社への異動も難易度が高いと考えたため、転職を決めました。

デロイトトーマツグループを選んだ決め手は、面接で感じたマインドの近さです。業務改善に対する意識がマッチしたと感じました。面接官(現在の上長)が、ついていきたいと思える人だったことも大きかったですね。「管理会計の組織として、経営に示唆を出せるようにしたい」と語っていて、管理会計は未経験でしたが、この人のもとで習熟できるかもしれないと感じました。

現在はデロイトトーマツグループ合同会社の総務部門で、管理会計を担当しています。予算策定と月次フォーキャストの作成、差異分析、役員向け報告資料の作成が主な業務です。

総務部門だけでもメンバーが100〜200人いて、扱う金額も大きく、オフィスの工事一つで数億円が動くこともあります。工事の進行状況を担当者からうまく引き出して最新情報をキャッチアップし、着地の金額を予測する。価値のある情報を経営陣にレポートできた時にやりがいを感じます

NTT時代の経験も活きています。実は今の会社でもコスト集計の精度向上を目的に、プロジェクトコード体系の見直しを進めているのです。まさにNTT時代に経験した、共通ITシステムへの移行でのプロジェクトコード体系の見直し経験が、そのまま役立っています。NTT時代と同様、「運用可能な粒度の設計」「過不足のないシンプルな構造への再設計」という考え方を軸に、業務を進めているところです。

グループ全体やグローバルを担う財務人材をめざす

——最後に今後のキャリアビジョンと、アルムナイコミュニティについての感想をお聞かせください。

今は総務部門のコスト管理を担当していますが、ゆくゆくはグループ全体のコストを俯瞰し経営陣に報告したり、グローバルにも連携して数字を出せるようなFP&Aの領域に挑戦したりしたいですね。あるいは、コスト管理だけでなく、売上を上げていくための予算管理や戦略立案に関わる道もあるかもしれません。

アルムナイコミュニティには参加してよかったと心から思っています。卒業生の方々が各フィールドで活躍されている姿を見ると、すごく刺激になります。

また、懇親会で財務ラインの役員クラスの方々とお話できることもうれしいです。在籍中にはお会いできることがほとんどなかったので、卒業した今、貴重な機会をいただいているなと思いますし、みなさんとの会話を通じて、NTTが素敵な会社だったことを思い返しています。出産を控えているのでタイミングを見ながらになりますが、今後も顔を出していきたいと思っています。

あとがき

営業での挫折を経理への転身に変え、前任者不在の中で決算業務を回し、煩雑なシステム移行という任務を主担当としてやり遂げてきた木村さん。与えられた環境で最善を尽くし、一つひとつの経験を次のステップへの糧に変えてきた、しなやかな強さを感じさせるキャリアだと感じました。

また、改善への情熱は、NTT時代のシステム移行でも、現在のデロイトトーマツでの管理会計業務でも一貫して発揮されており、木村さんの強みを形成する軸なのだろうとも感じます。

今後新たなライフステージを迎える木村さん。これからも、その改善志向を武器に、キャリアを切り拓いていかれることでしょう。今後の歩みを楽しみにしています。

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第5回 アルムナイ交流会レポート~キャリアの可能性を広げる本音の情報交換~

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