SE、年金運用、IR——多様なキャリアを経て、サステナビリティの最前線へ   NTTグループ財務アルムナイインタビューVol.8 宿理 直哉さん

NTTグループを卒業後も活躍を続ける、アルムナイのみなさんをご紹介する本連載。
第8回は2023年までの約15年間NTTグループに在籍し、みずほ信託銀行を経て、現在は株式会社JERAのIR部門内にてサステナビリティ推進を担っている宿理 直哉さんをご紹介します。

SEからキャリアをスタートした宿理さん。7年間開発業務に従事した後に、ある出来事をきっかけに財務領域に興味を抱き、ジョブチャレンジ制度を活用してNTTビジネスアソシエに出向、グループ企業年金の資産運用に携わりました。その後はIRに従事、現在もIR領域で活躍していらっしゃいます。

SEから財務へ転身した理由とは。そして、みずほ信託銀行、JERAへと転職した理由とは。じっくりとお話を伺いました。

(プロフィール)
宿理 直哉(しゅくり なおや)
2008年NTTデータ入社。公共分野でSEとしてシステム開発を担当した後、
15年にジョブチャレンジ制度を活用しNTTビジネスアソシエ(NTT企業年金基金)に出向し、グループ企業年金の資産運用を担当。その後NTTデータと持株会社のIR室を経て、23年みずほ信託銀行へ転職。25年同行を退職し、現在は株式会社JERAのIR部門内にてサステナビリティ推進の実務を担う。

目次

SEとして大規模公共システム開発に従事

——まず、NTTデータへの入社のきっかけを教えてください。

私はもともと「縁の下の力持ち」が向いている性格で、就職活動でも公共性の高いインフラ分野の仕事に携わりたいという思いがありました。そのため、就職活動では電力会社や通信会社を中心に見ていました。

その中で出会ったのがNTTデータです。IT業界は当時から非常に盛り上がっていましたし、会社説明会で紹介された最新技術に感銘を受けたことを覚えています。この先、絶対に伸びる領域だろうと感じました。

その後大学のOBから話を聞く中でどんどん志望度が高まっていき、技術の本丸であるSE職として就職することを決めました。

——入社後は7年間、システム開発を担当されたそうですね。

配属面談の際に「多くの人々が利用する、公共性の高い大規模なシステムに携わりたい」と伝えたところ、公共分野に配属していただきました。最初の2年間はe-Tax(国税電子申告・納税システム)の業務アプリケーション開発を担当し、その後5年間は国保総合システム(レセプト電算処理システム及びオンライン請求システムの開発・運用)に携わりました。

——公共システムの開発で特に印象に残っていることはありますか?

国保総合システムプロジェクトで、次期システム開発担当にアサインされたことです。現行システムから新システムへの移行は絶対に失敗できないという、お客さまも相当なプレッシャーを抱えていらっしゃいました。

NTTデータは、若手でもどんどんお客様の前に出て説明や報告をさせてくれる環境でした。その分、技術力も業務知識も勉強中という中でのお客様対応は苦労しましたし、やはり中には厳しいフィードバックをくれる方もいらっしゃいました。

ただ、私は「なんとか食らいついてやりきる」という気持ちで、一つひとつの指摘に向き合い、なんとかご要望通りの形で納品にこぎつけることができました。そのお客様とも最終的には良好な関係を構築できたと思います。この経験が自分のキャリアにおける大きな自信につながりました

会社全体を俯瞰する視座を養うべく、ジョブチャレンジ制度に応募

——その後、ジョブチャレンジ制度で財務領域に移られたのですね。

開発の仕事は好きでしたし、7年目には全体が見えてきて力も発揮できるようになっていました。一方で、現場にいると会社全体がどういう方向に向かっているのか俯瞰的に見られないという課題を感じていました。

例えば、年度初めの全社キックオフでの経営陣からのあいさつでは、いつも会社全体の課題や方向性について話があります。ここで触れられている話題がきちんと理解できないことに、だんだんともどかしさを感じるようになったのです。

経営に近い立場での仕事に興味が出てきたこと、そして現場で一通り仕事を回せるようになったこともあり、コーポレートスタッフ側への異動に挑戦することを決めました。

その中で選んだのが、年金運用の業務です。当時、プライベートで資産運用を始めていて、外部のスクールにも通いながら知識を蓄えていました。「これを仕事に活かせないか」と思っていたところ、たまたまNTTビジネスアソシエで、年金運用業務のジョブチャレンジ制度の募集があったので応募し、採用されるに至りました。

——具体的にはどのようなお仕事でしたか?

年金資産をどのようなポートフォリオで運用していくかという、戦略の策定が主な仕事でした。当時30社以上の金融機関に運用を委託していて、日常的にコミュニケーションを取りながら、資産のパフォーマンス管理や、将来の期待リターン・リスクの算出、ポートフォリオの見直しを行っていました。

NTTグループ社員だけでなく、そのご家族の生活にも関わる仕事でしたし、運用規模も数兆円にのぼりましたから、非常に責任の重い仕事でした。経営陣への説明でも納得感のある資産構成を提案しなければならないプレッシャーが常にありました。しかしその分、大きなやりがいを感じることもできました

その後、NTTデータに戻るにあたり、人事との面談で年金運用の経験が活きるところに行きたいと話していた中で、選択肢の一つとしてIR担当を提示していただきました。

——IR担当として特に印象に残っている仕事はありますか?

統合報告書の制作プロジェクトです。多種多様な関連部署とのやり取りが発生する業務でした。

IR部門として「こういうコンテンツを開示したい」と思い、情報の提供元である主管部門に掛け合っても、「それは出せない」と回答が返ってくることが何度もありました。ある主管部門とは最終的には経営幹部を巻き込んでトップダウンでお墨付きをもらったこともありましたが、そこに至るまでの水面下でのやり取りには苦労しました。

主管部門や経営幹部に協力してもらうために、開示物のコンテンツイメージをもとに、双方落とし所を見出しながらできる限りの情報を引き出していく——そういった地道で泥臭い仕事ばかりでしたが、この経験を通して身につけた調整力は現在の仕事でも大いに活きています

IR領域を極めるために転職を決意

——NTTグループを退職された理由を教えてください。

IRという仕事に強いやりがいを感じていて、もう少しこの領域を突き詰めていきたいと思っていました。ただ、NTTグループではジョブローテーションでいろいろな部署を回るのがオーソドックスなスタイルです。そのため、外の会社も見てみようと考えるに至り、みずほ信託銀行に転職しました。

——みずほ信託銀行ではどのような経験をされましたか?

証券代行部門の新システムの開発プロジェクトにアサインされました。機能を作り込む中で、事業会社目線での意見やアイデア出しができたのは良かったですね。また、証券代行の営業やコンサル担当と日常的にやり取りする中で、他の事業会社の情報やIR界隈の最新情報に触れる機会も多くありました。

ただ、どちらかというとシステム開発要員としての採用だったので、IRの専門性を深めるという当初の目標に直接つなげるのは難しいとも感じていました。

——そして現在、JERAのIR部門でサステナビリティ実務を担当されているのですね。

NTTデータ時代にIRをやっていた頃から、非財務領域の知見がないことには課題を感じていました。IR担当としては、財務だけでなく非財務もしっかり把握した上で投資家とやり取りをしなければなりません。

JERAでは未経験ながらサステナビリティ実務に携われる環境があったので、入社を決めました。ようやく3ヶ月(取材当時)経ちましたが、当初思い描いていたイメージ通りに仕事することができています。今後統合報告書の制作や投資家面談等にも携わるため、NTT時代の経験を大いに活かしていきたいと考えています。

NTTグループの魅力はやはり「人」

——NTTグループで過ごした15年間を振り返って、どのような思いがありますか?

NTTグループには本当に感謝しています。公共性の高さ、なくてはならない会社であるという点に魅力を感じて入社しましたが、実際に中に入ってみると、高いモチベーションで働いている魅力的な方々がたくさんいらっしゃいました。どの部署にも尊敬できる方がいましたね。

NTTデータ時代には、入社2年目の終わりにある成果発表の機会、あるいはその後の昇格試験の段階において、どの上司も業務時間内外問わず、資料レビューやプレゼン・面談練習に付き合っていただきました。NTTビジネスアソシエ出向時には、役員クラスの部長自らが私の席まで来てOfficeツールの効果的な使い方を教えてくださいましたし、出向復帰後のことまで考えて、いくつかの部署との面談機会を設けてくださった上司もいました。

「ここまでしてくれるんだ」という驚きとともに、そういった方々のためにもっと頑張りたいというモチベーションにつながりました

——転職して外から見て、NTTグループの良さを改めて感じることはありますか?

やはり「人」ですね。新卒で入ったからというのもあるかもしれませんが、NTTグループでは関わった方々が気にかけてくださって、普段の業務だけでなく長期的なキャリアまで一緒に考えてくださいました。

転職すると、何でも自分から積極的に情報を取りにいかないといけません。また、孤独な戦いになることも多いです。NTTグループにいた時の育成環境は、本当に恵まれていたと感じています。

——最後に、アルムナイコミュニティへの期待をお聞かせください。

NTTグループに育てていただいたという思いは退職後も変わりません。NTTグループとつながりを持てる場として、このコミュニティに招待いただいて感謝しています。

交流会に参加して、いろいろな思いで外に飛び出した方々の話を聞いたり、現役の方々と今の状況について話したりできるのは貴重な機会です。今後は規模がさらに大きくなって、最終的にはビジネスにまでつながるようなコミュニティになっていくといいなと期待しています。

あとがき

SEから財務領域への転身というキャリアが特徴的だった宿理さん。温和な印象の方ですが、若手だった頃から大規模公共システムの厳しいプロジェクトを完遂したり、ご自身の資産運用のためにスクールに通ったりと、そのエピソードからは芯の強さと努力を惜しまない姿勢を感じさせてくださいました。

現在はIRの中でもサステナビリティ分野の実務を担っていらっしゃるとのこと。宿理さんのキャリアや現在のお仕事に興味のある方は、ぜひご本人か事務局までお知らせください。また交流会等でお会いできることを、楽しみにしています。

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