知的好奇心が導いた、最先端を切り開くキャリア NTTグループ財務アルムナイインタビューVol.9 平野 龍一さん
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NTTグループを卒業後も活躍を続ける、アルムナイのみなさんをご紹介する本連載。第9回は2020年までの約12年間NTTコミュニケーションズに在籍し、その後PwCコンサルティング合同会社を経て、現在はPwC Japan有限責任監査法人でアドバイザリーを務める平野 龍一さんをご紹介します。
NTTコミュニケーションズでは、事業計画、税務、NTT Europe Ltd.での海外トレーニー、ファイナンスと、国内外で財務領域を幅広く経験。その後、ベストプラクティスを探究すべくPwCコンサルティング合同会社へ転職し、現在はサステナビリティ開示の最前線で活躍していらっしゃる平野さん。
パワフルに新天地を切り開いてきたそのモチベーションの源泉は、「知りたい」という知的好奇心にあったと言います。そんな平野さんのこれまでのキャリア、そして今後のビジョンについて語っていただきました。
平野 龍一(ひらの りゅういち)
早稲田大学政治経済学部卒業後、2008年NTTコミュニケーションズ入社。
事業計画、税務担当、NTT Europe Ltd.での海外トレーニー、ファイナンス担当を経験後、2020年PwCコンサルティング合同会社に転職。製造業界およびIT業界のクライアントの経理システム導入に伴う支援に従事した後に、2023年PwC Japan有限責任監査法人に異動。現在はコンサルタントとしてサステナビリティ開示に向けたPMOに従事している。
——まず、平野さんがNTTコミュニケーションズに入社されたきっかけを教えてください。
就職活動時は、自分の生活に直結するようなインフラ系の仕事を志望していました。その中でも、一番楽しく働けそうだと思えたのがNTTコミュニケーションズでした。
同社からは当時、OCNというインターネットプロバイダーを中心に、コンシューマ向けのサービスが活発に展開されていました。特にインターネットを介して香りを届ける「香り通信」というサービス は印象に残っており、デジタル技術の可能性を感じさせてくれる事業展開にわくわくしたことを覚えています。こうした理由から、入社を決めました。
——入社後のキャリアについて教えてください。
最初は福岡と名古屋のコールセンターで1年間経験を積み、サービスの基礎知識をインプットしました。その後東京本社に戻り、一般ユーザー向けの販促企画を2年間担当しました。
その仕事の中で、「この売上はどんなプロセスを経て、どのような形で会社に利益として残るのか」といった収益構造への興味関心を抱くようになりました。そこで、数字を扱える部署に行こうと異動希望を出し、2011年、カスタマーサービス部での事業計画担当に就きました。
カスタマーサービス部は、法人向けに販売したインターネット回線を保守する部署です。その運営にかかる人件費、システム投資、その他必要な費用を管理する業務を担当していました。
そしてこれらの経費を扱う仕事の中で、「売上から経費を差し引いたのが事業利益だが、結局のところ、最終的に会社にはどれだけのお金が残るのか」ということに興味が湧いてきました。
事業利益から税金などが引かれた後の純利益が会社に残るキャッシュであり、それを再投資することで会社はさらに成長します。当時は多国籍企業の租税回避問題に関する議論が活発になっていた時期で、タックスヘイブンの話題も出ていました。
当時NTTコミュニケーションズはグローバルに事業を展開していましたから、各国の税制を遵守しながらも会社にお金を残す仕組みを考える仕事に興味がわき、今度は税務担当への異動を希望したのです。
——税務のお仕事で特に大変だったことは何ですか?
定常業務としては、まず申告ですね。法人税、事業税、固定資産税など多種多様な税目について、必要な情報を集めて申告納税額を算出し、責任を持って提出する。そして国税局からの調査も定期的に受けますので、その対応には神経を使いました。
また、M&Aが行われる際の対応も大変でした。M&Aのストラクチャーは案件ごとに異なるので、アドバイザーと相談しながら自分でも調べ、経営層にわかりやすく説明しなければなりません。誤った経営判断につながらないよう、緊張感を持って取組んでいました。
——数十億円規模の節税プロジェクトにも携わられたそうですね。
当時、生産性向上設備投資促進税制というものが創設されました(2017年3月31日をもって終了) 。会社として生産性が向上する投資をすれば、その投資額の一定割合が税額控除される制度でした。
担当者として、まずこの制度を理解し、自社のどこに影響があるのかを分析し、どの事業部を巻き込むべきか、経営層にどう説明し、どのような選択肢を提示するかというストーリーを考えなければなりませんでした。何もないところからプロジェクトを組み立てていったのが一番大変でしたね。
この経験を通じて、税制の専門知識だけでなく、周囲を動かしていくプロセスや、上の人に理解してもらうための説明の仕方も学べたと思います。
——その後、ロンドンのNTT Europe Ltd.に海外トレーニーとして赴任されたのですね。どのような理由からですか?
税務の仕事で海外と関わる機会が多く、海外での事業がどのように成り立っているのかに興味を抱くようになりました。そしてそれを知るには実際に現場に行くことが一番いいだろうと思い、希望しました。経営企画部で、会社の事業計画や資金管理、本社から子会社への施策展開などを担当しました。そして帰国後は財務部ファイナンス担当に異動し、M&A時の財務審査と、外貨管理を行いました。
——財務キャリアを重ねる中で、視点はどのように変わりましたか?
当初は、単純に会社の収益構造を知りたいというところがスタートでした。それが経験を重ねるうちに、「どういう手を打てば会社の将来の収益につながるのか」「会社としてのコストを下げるにはどうすればいいか」という、会社全体の視点で考えるようになりましたね。
こうした視点から、自分の担当領域でできることをいろいろ考えて仮説を立て、社内で議論してまとめていき、実践していくわけですが、「本当にそれが最適解だったのか」「他社はどうやっているのか」「他のソリューションはないのか」——そういったベストプラクティスを追求したいという欲求が高まっていきました。
いろんな会社に対してサービスを提供しているコンサルティング会社なら、それが可能なのではないかと考え、PwCコンサルティング合同会社への転職を決めました。
——PwCコンサルティング合同会社ではどのようなお仕事をされましたか?
経理システム導入に伴う新業務設計支援やPMOなどを担当しました。業務側で要件を定義して、それをシステムに実装し、設計・開発・運用するという流れです。
業務を定義するには業務の流れがわかっていないといけないので、NTTコミュニケーションズ時代に経理、税務、決算、資金など様々な業務を経験してきたことが役立ちました。
その後、もっと自分のバックグラウンドを活かしながら、仕事の幅を広げたいという思いから、PwC Japan有限責任監査法人に異動しました。
きっかけは、コンサルティングは業務起点やシステム起点ですが、監査法人のアドバイザリーは制度対応——たとえば新リースの会計基準が変わった、サステナビリティの開示基準が変わったといった、制度起点の仕事が多いです。より根本的なニーズや困り事に対応できるという点で、自分のやりたいことは後者の方が近いと感じたからです。
——現在はどのようなお仕事をされていますか?
サステナビリティ開示基準(SSBJ)への対応支援を行っています。具体的には、各フェーズのタスク検討、毎週の分科会に向けた論点整理とレビュー、保証人との協議に備えた協議ポイントの洗い出し、ロードマップ策定などを行っています。
またチームリーダーとして、タスクの進捗管理や関係者間の調整、リスクの事前把握と対応策の検討など、プロジェクトの円滑な推進もリードしています。
こうしたプロジェクトマネジメントスキルや、企業価値に直結する意思決定を支える力、財務会計に関する専門性や複雑なルールを読み解く力は、NTTコミュニケーションズ時代に培われたもので、今の自分を支えてくれていると実感しています。
——お話を伺っていると、常に「知りたい」という気持ちがキャリアを動かしてきたように感じます。その「知りたい」という意欲はどこから来ているのでしょうか?
昔から人に教えることがとても好きでした。勉強でも何でも、「わからない」「できない」という人がいたら、自分のわかることであれば何でも教えていました。
困っている人に何かを教えることで、その人は壁を乗り越えることができ、幸せになる。それに喜びを感じる性格が、今のアドバイザリーという仕事につながっているのかもしれません。
知っていることが多くて深いほど、教えられることも多くなる。だから「知りたい」という欲求が尽きないのだと思います。
——今後のビジョンを教えてください。
今携わっている仕事は新しい基準を扱っています。もっとしっかり理解して、より良いサービスを提供していきたいですね。また、管理職になったので、チームをどのようにまとめてメンバーのパフォーマンスを高めるかというマネジメントスキルも、向上させたいと思っています。
——最後に、アルムナイコミュニティへの期待を教えてください。
NTTグループは諸制度の対応に関して、最先端の取組みを多く行っています。私の関わる領域ではサステナビリティ対応ですが、他にもさまざまなテーマで意見交換や情報共有ができる場になると、とても有意義だと思います。今後の更なる展開に期待しています。
教えることで、壁を乗り越える手助けをする喜び。それが知的好奇心を育て、キャリアを切り開いていく力の源になったという平野さん。NTTコミュニケーションズで培った経験とスキルが、制度対応の最前線でアドバイザリーをやり遂げる支えになっていると聞き、NTTグループにいる立場としても自信につながる思いがしました。
現在はSSBJプロジェクトにおいて、企業のサステナビリティ戦略や開示対応を支援していらっしゃる平野さんの話を聞いてみたい方、近しい領域でお仕事をされている方などがいらっしゃいましたら、ぜひ事務局かご本人までお気軽にご連絡ください。お互いの知見のために、意見交換できたら幸いです。
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