NTTのダイナミックな業務経験を活かし、大幅な業務効率化を実現 NTTグループ財務アルムナイインタビューVol.5 長野 覚さん

NTTグループを卒業後も活躍を続ける、アルムナイの皆さんをご紹介する本連載。
第5回は2017年までの約8年間NTTビジネスアソシエに在籍し、現在は三井住友DSアセットマネジメントの営業企画部に所属していらっしゃる長野 覚さんをご紹介します。

元々税理士を志していらっしゃったという長野さん。税理士法人での勤務を経て、大規模法人で税務業務を経験することでのスキルアップを目指し、NTTビジネスアソシエに入社されました。そこで感銘を受けたのが、「一つひとつの業務に対する徹底した姿勢」だったそうです。
NTTの業務がどのように優れていたのか、そして転職した現在、どのように活かせているのか、詳しくお伺いします。

(プロフィール)

長野 覚(ながの さとる)
税理士法人での勤務を経て、2009年NTTビジネスアソシエに入社。アカウンティング事業部 財務会計部門で税務制度担当、会計制度担当に従事。
2017年に退職し、現在は三井住友DSアセットマネジメント営業企画部にて営業部門の業務計画策定、計数管理、システム開発等を行っている。 

目次

スペシャリストとしてのキャリアを志し、税理士を志望

――まずは、財務会計を志したきっかけについて教えてください。

元々は、税理士を目指していました。というのも、一般的な日本企業の総合職の場合、多くはゼネラリストとしてのキャリアを歩むことになります。しかし私が大学に入学し、将来のキャリアを考え始めたとき、プロフェッショナルとしてのキャリアを究めるほうが自分には向いていそうだと感じました。その中で、私自身数字や計算が好きだったことや、経営に近い仕事に興味があったこともあり、専門職の中でも税理士を選びました。

そして大学卒業後、科目合格を果たした時点で税理士法人へ入所しました。税理士法人では主に小規模法人や個人のお客様を対象に、確定申告や相続税申告などの税務申告業務を通して、税務会計の基本的な実務を習得することができました。そのタイミングで、大企業で複雑かつ大規模な会計を経験することで、更なるスキルアップを目指したいと思い始めたのです。中でもNTTビジネスアソシエを選んだのは、自分の知っている会社であり、なおかつ日本でも有数の規模感の会計業務に携わることができると考えたからです。

税務判断における徹底した姿勢に感銘を受ける

――NTT時代にはどんな仕事を経験されたのですか?

仕事は思い描いた通り、非常にやりがいがありました。なかでも感心したのは、NTTの歩み――例えば民営化や分社化などの大規模な経営体制の変更が、日本の税制そのものに影響を与えてきたということです。自分の仕事が社会に与えるインパクトや責任の大きさを痛感すると同時に、一つひとつの計算や判断を緻密に行っていかなければならないと、背筋が伸びる思いがしました。

こうした意識は財務会計メンバーの皆が共有していました。NTTグループは当然、国税庁から申告内容を非常に厳しくチェックされますので、きちんと会計ルールが守られているか、過去の申告内容との齟齬がないか等、一つひとつの整合性や判断を全員が徹底的に突き詰めていきます。こうした経験を若いうちに積めたことは、会計人材としてのキャリアの中で非常に貴重な経験だったと思っています。

特に思い出深いのは、2010年の持株会社によるDimension Data社(以下DD社)の買収です。この案件で私は初めて本格的な国際税務の対応を行うことになりました。DD社は当時約50カ国、150社に及ぶグループ会社を持っていました。そのため、グループ会社が本社を置く各国の税制と、各社がその税制にどのように対応しているかを全て調査し、タックスヘイブン対策税制の対象となるかどうかを判断、そして対象となる場合は日本の税制に合わせた課税計算を行う必要がありました。

そこで調査シートを作成し、各社に配布、取りまとめるという形をとったのですが、私自身英語が堪能ではないため、一つひとつ翻訳しながら文書を作成したり、読み解いたりという作業が必要でした。こうした言葉の壁に加え、それ以上に大変だったのが文化や商習慣の違いです。「担当者から返事がないので分からない」「ファイルを紛失したので分からない」といった、日本では考えられないような回答が返ってきて途方に暮れたこともありました。

しかし国際税制の知識が身に付いたことに加え、こうしたグローバルな仕事は初めてだったこともあり、刺激的かつNTTグループならではの大きな規模感の仕事を経験できました。

個人的に行っていた資産運用の現場へ

――転職のきっかけについて教えてください。

当時のNTTグループは、いわゆる年功序列型の雇用体系であり、昇進までにある程度の期間がかかりました。そのため、大幅な昇給もすぐには見込めません。そこで、私が行っていたのが資産形成です。

私が資産運用を始めた15~16年前は、投資信託についての情報は今ほど充実しておらず、今でこそ常識となった「インデックスファンドを積み立てる」という最も手堅い運用方法も、一般的にはあまり知られていませんでした。その分研究のしがいもあり、個人的に興味を持って勉強したり、そこで得た知識やセオリーを実際の売買で試してみたりしていたのです。そうした中で2017年に、たまたま資産運用会社の三井住友DSアセットマネジメントで、経理ポストを募集しているという情報を耳にしました。

当時はNISAが始まって間もなかったことに加え、翌年の2018年からはつみたてNISAもスタートするとあり、投資信託が広く普及し始めていた時期でした。自分自身が興味のある分野でもありましたし、待遇や雇用条件も優れていました。そこで門を叩いてみたところ、NTTで培ってきたスキルや経験が高く評価され、内定をもらうことができたのです。

しかし、実際に転職するかどうかについては非常に悩みました。NTTは優秀で人格的にも素晴らしい方が多く、成長環境としては本当に優れていました。一方で、もっと早くマネジメントや直接的に経営に関わることができるポストに就きたいという思いがあったのも事実です。

そこで退職する際、当時持株会社の部長を務めていらっしゃった元上司に手紙を渡しました。そこにはNTTという素晴らしい成長環境に身を置けたことへの感謝を述べつつ、一方で自分のスキルや経験を評価し、ポジションや待遇という形で応えてくれる会社に転職することを決意した旨をしたためたのです。

そこから数年を経て、NTTグループの雇用体系は一人ひとりの実力をより適切に評価し、ポストや待遇を与える形に変わっていっていると思います。私の手紙がきっかけになったかどうかは分かりませんが、やはりNTTという組織は社員一人ひとりの期待に応えようとしてくれる組織なのだと感じました。

NTTのノウハウが効率化に直結することを実感

――現在のお仕事について教えてください。

2年間経理部門を経験した後、現在は営業企画部の中で、営業部門のバックオフィス的な役割――例えば業務計画策定、計数管理、事務処理や請求処理のフローを効率化するためのシステム開発といった業務を担っています。その中で感じているのは、営業担当者と経理担当者は、見ている景色が全く異なるということです。経理担当は、正しい手続きや計算、申告を行うことを最終目標としていますが、営業担当者が目指しているのは売上目標の達成です。だからこそ、営業担当者がストレスなく、意図せずとも正しいフローを踏めるようなシステムや業務フローを作らなければなりません。

そこで、NTT時代の経験がとても役に立っています。例えば、NTTで業務使用するシステムやEUC(end user computing)のユーザーは大人数になるため、ユーザーのニーズに合っている設計、直感的な操作動線、入力ミスやエラーを検出しやすい工夫がされています。また、業務フローの構築もスムーズに引き継ぎができることを前提にするなど、そのシステム作りは完璧と言っても良いほど徹底していました。これまで請求書システムや営業支援システムの開発・導入を行いましたが、今の会社にはこうしたノウハウがほとんどなかったので、NTTのシステムを参考にしつつ作り上げていきました。これによってバックオフィスの効率がかなり改善し、残業時間や休日出勤が大きく減少しました。直接感謝を伝えてくれるメンバーも多く、  NTT時代のノウハウが役に立つことを実感しています。

――今後のビジョンはありますか?

今は営業企画部に所属していますが、また経理部門に戻る可能性もあります。経理部門には営業部門経験のある人が少ないので、営業部門の力学を学び、人間関係を構築した私が経理部門に戻ることができれば、新たなシステム構築や効率化といった分野のみならず、部門間の橋渡しによりビジネスの推進に貢献できることが多いのではないかと感じています。

また、転職してみて実感したのが、NTT時代の上司は部下育成に対する熱意がとても強かったということです。一人ひとりの志向を考慮し、その人自身の成長につながるような業務の割り振りをしてくださったのはもちろん、何時間もかけてご自身の知識や経験を伝えてくれる機会を作ってくださったりもしました。このような後進のために労を惜しまない姿勢は本当に尊敬しています。私自身もマネージャーとなった今、皆さんに直接恩返しをすることは叶いませんが、こうした姿勢を見習い、今の会社組織の中でそれを実行することで私自身の役割を果たしていきたいと考えています。

また、偶然なのですが、当社にはNTTグループ財務アルムナイが私を含めて3名います。やはり業務に対する暗黙知が一致していることもあり、非常にコミュニケーションがスムーズで一緒に仕事をしやすいです。先日は第3回アルムナイ交流会にも参加しました。同じバックグラウンドを持つ皆さんと情報交換したり、仕事の課題を相談したりできるのはとても貴重で心強いと感じています。こうした場を活用して人間関係の幅も広げていきたいと思っていますので、ぜひまた次の機会に参加し、皆さんとお会いできればと思っています。

あとがき

NTTで徹底した税務判断への姿勢やノウハウを身に付け、それを新天地で活用することで大幅な効率化を実現することができたという長野さん。やはりNTTで運用されている制度やシステムは、グループ全体で数十万人の社員が使用するものであるからこそ、非常に高品質であることを実感しました。

長野さんは先日の第3回アルムナイ交流会のパネルディスカッションでも、「営業人材と財務会計人材の相互理解を促進するには?」という質問を投げかけていらっしゃいました。こうした課題を、最適化されたシステムの力で乗り越えようとされている姿は、読者であるアルムナイの皆さまにも参考になる部分が大きいのではないでしょうか。

今後も是非交流会に参加いただけたらと思います。ありがとうございました。

前の記事

第3回 アルムナイ交流会レポート ~コミュニティの更なる発展に向けたパネルディスカッション~

第3回 アルムナイ交流会レポート ~コミュニティの更なる発展に向けたパネルディスカッション~

次の記事

【リレー投稿企画まとめ】アルムナイの皆さんがおすすめする「NTT時代に愛したグルメ」7選

【リレー投稿企画まとめ】アルムナイの皆さんがおすすめする「NTT時代に愛したグルメ」7選